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キューバの石油開発と米国

 日中の東シナ海ガス田問題は、日本では資源の問題というより主権の問題として、中国ではそれに加え共産党の政治的問題として認識されているようだ。そのため構造的に合意に達しにくい状況であり解決が難しい。またこのような広大な大陸棚が広がっている係争地域もあまりなく、政治的条件も異なり他国の事例も参考になりにくい。そのためこのキューバ沖の話は参考に出来る事例でもないのだが、米国内ではそれなりに話題となっていることから取り上げておきたい。

 1977年、米国とキューバが双方の権利を保持するようフロリダ海峡を分割した条約を結んでいる。これはそれなりに海峡が深いこともあり、さすがに米国は大陸棚云々とキューバの領海近くまでの権利主張はしていない。また近年の米国は自国沿岸地域での石油・天然ガス開発はしていない。米国は環境保護団体の発言力が強いこともあり、事故による水質汚濁への懸念しているということが背景にある。過去有名な事故としてはアラスカでのエクソン社のものがあり、それ以来大規模な原油流出事故への恐怖が根強くある。この件は英語版Wikiの記述が手厚く、参考になると思われる。(参照)将来のエネルギー安全保障に備えて採掘していないのではないかという意見もあるが、共和党より民主党のほうが石油開発には消極的なところを見てもそれは過大評価であろう。技術進展による価値下落のほうがペースが早いのではないか。

 ともあれ、最近のキューバは中国やインドといった外国からの働きかけもあり、自国沖の資源を開発する政策を進めており、海底資源問題が改めて注目を集めている。(参照2)言うまでも無いが米国内でのキューバへの反発は強く、非民主的な国の関与は様々な政治的レベルで懸念が表明されている。(参照3)あくまで利潤を追求する民間企業が主体となるカナダやスペインとは違って、中国などは国策としてかなり無神経な態度を取っているようで、米国から厳しい反応が返って来ているようだ。先の記事にある"acting as if they can somehow 'lock up' energy supplies around the world"という事が重要で、市場に流さず囲い込むという挙動に反発がある。この点は日本も対イランなどで意識しておいたほうが良いことでもある。
 中国に関しては、米国と外交案件が山積みなこの時期に間も悪いし、摩擦は事前に予想できそうなものだが。それを考えると、東シナ海で日本と交渉している内容は、自国沿岸でもありまだ遠慮深いほうだとでも中国は思っているのかもしれない。またインドについても、米国内ではブッシュ政権は甘い対応をし過ぎるとこれまた風当たりが強くなっている。

 とはいえ、自国周辺での石油資源の利用をより積極的に進めるべきだという意見は常にあるし、そういう動きに繋げるためにこのキューバの件を報道しているという人々もいる。このコラムなどはその主張の典型例といえるだろうか。(なおここで記述されているメキシコの件は、メキシコが一部麻薬の合法化を検討していて米国が猛反発しているという事が背景にある)何しろメキシコ湾に関してはあまり調査もされていないようなのだ。さっさと調査して採掘すればいいと思うのだが。なぜか石油は戦略資源として特別視されることが多い。確かに代替性は最も低い部類に入るが、一次産品は抱えていても価値があるわけではなく、市場に提供して初めて利益となる。北米自由協定を締結していて、一人当たりの所得水準が米国より低めでビジネスが回りやすいメキシコに開発させるのが一番良いと思うのだが。メキシコが経済的に反映すれば、難民や犯罪者、麻薬などの米国への流入も減るのではないか。

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