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米国におけるヤルタ会談の評価

 ヤルタ会談を否定的に評価するブッシュ大統領の発言が話題になっている。「東欧を共産主義の手に渡した」と過去の米国の政策を自己批判した。これは米国の外交姿勢としてかなり大きな変化ではある。ここで国内の対民主党への批判構図を持ち出すのはさすがに考えすぎだろう。ただ練られた発言であるとは思う。ライス国務長官の影響もあるかもしれない。ここでプーチン大統領が「ファシズム打倒のための結束である」と素早く反応しているのも感覚としては良く分かる。

 ワシントンポストのこの記事、あっさりしてはいるが興味深い。(参照)この付近の言い回しとか。奴隷制度への言及とか、国内外へのある種の同一視は日本人には出てきにくい発想かもしれない。

And to make the point that the United States owns up to "the injustices of our history," he reminded his audience -- and by extension Putin -- of the shameful heritage of American slavery and centuries of racial oppression.

 歴史の解釈とはその時代の価値観の過去への反映である。もっともヤルタ会談当時の米国も、それが良いことだとは思っていなかっただろう。せいぜい現実の追認というところだ。欧州に派兵された米兵の帰還圧力は当初からかなり強かった。そしてこれほど長期間、厳しい冷戦体制が存続するとも思っていなかった。このヤルタへの否定的評価は米国内でも根強いものであったし、レーガン政権下でも出てきたものではあったが、こういう場で公式に表明されることはやや珍しいと言える。
 これは9.11以降の米国外交の変化と同期している。日本国内ではあまり注目されないが米国外交の重要な変化点の一つとして、専制政治への妥協が極端に低下していることがある。これまでであれば地域の現状として容認してきた状況の幅が狭くなっている。サウジやエジプトへの対応が好例だ。結果、空気を読めない専制政治家はウクライナのような末路となる。「イラクに増派するから見逃してくれ」みたいな事を言ったらしい。完全に逆効果である。
 中東のみならず、世界における自由の拡大戦略とこの歴史解釈は連動しているが、本質的に米国の価値観と相性が良い故に継続するだろう。日本も対米外交でこのあたりに注意する必要がある。例えばイランとの取引などはこれに該当すると解釈されるだろうし、スーダンなど論外だろう。もっとも石油の場合はあの石油公団肝いりという時点で末路が見えるが。今まで死屍累々でこのリストにシベリアパイプラインも予定されている。何か前向きな結果が今まであっただろうか?ただせめて、今回のようなブッシュ発言を受けて、北方領土返還問題を有利に進めようとするような機会主義的な外交は避けて欲しいものだ。

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Comments

先日は雪斎さんのブログでお世話になりました。
過去ログをも含めて非常に興味深く拝見しております。
あいさつのみですが、今後とも色々ご教示いただきたく思っております。よろしくおねがいします。

Posted by: まったり | 2005.05.08 08:27 PM

こちらこそお世話になります。拙いブログではありますが、思うところありましたらコメントいただけると幸いです。
このエントリ書いた後、雪斎さんの所を見たら同じネタで上がっていて苦笑しました。世間的には私はリベラルになってしまうのかな?そうは思っていないのだが・・・・・

Posted by: カワセミ | 2005.05.08 08:32 PM

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